お菓子づくりを科学的に解説

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砂糖って何種類ぐらいあるの?砂糖の種類と分類について

砂糖と一言にいっても、上白糖やグラニュー糖、沖縄で有名な黒砂糖など様々な種類の砂糖があります。

今回は、その砂糖の種類と分類ごとに特徴・用途について説明していきたいと思います。

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砂糖の種類と分類について

砂糖には大きく分けて5つの分類とショ糖の純度順によって1番糖~6番糖にランク付けされます。ではまず、分類から説明していきます。

砂糖の分類は砂糖の製造段階によって分類されます。

含蜜糖

砂糖の製造段階初期で出来上がる砂糖になります。

サトウキビや甜菜(ビート)から絞った糖汁をそのまま煮詰めて固めた砂糖です。一般的な上白糖やグラニュー糖に比べてショ糖の割合が少なく、灰分や転化糖が多く含まれます。味の特徴としては濃厚で独特の風味(えぐみ)をもった砂糖になります。

【含蜜糖に分類される砂糖】

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  • 黒砂糖

サトウキビの糖汁をそのまま煮詰めて固めた砂糖、独特な風味と濃厚な甘みが特徴です。主に沖縄は鹿児島などで盛んに製造されています。

  • 楓糖(メープルシュガー)

「砂糖楓」の樹液を煮詰めて固めた砂糖で、ハチミツのような芳香と独特な甘みをもっています。カナダ東部、アメリカ北東部で盛んに製造されています。

  • ヤシ津糖(パームシュガー)

「砂糖ヤシ」の花茎から絞った樹液を煮詰めて作る黒褐色の砂糖でマイルドな甘みと旨みをもちます。インドやインドネシア、タイなどで製造されています。

 分蜜粗糖

含蜜糖に比べてショ糖の割合が1段階高い砂糖になります。製造工程上は糖汁を煮詰めるまでは同じ工程なりますが、分蜜粗糖では煮詰めた糖汁にショ糖の結晶を種糖として加えショ糖を結晶化し取り出した砂糖になります。

味の特徴としては、糖蜜からある程度分離しているので含蜜糖ほど味にクセはなく、ほどよいコクと独特の風味をもっています。

【分蜜粗糖に分類される砂糖】
  • 赤ざら、赤砂糖

サトウキビの糖汁からショ糖を結晶化して分離した砂糖になります。名前のとおり茶褐色の色合いをしており、糖蜜を少量含んでいるため独特の風味を有しています。また糖蜜の含有量や粒子の大きさによって様々な商品があります。

  • 和三盆

赤ざらや赤砂糖のような分蜜粗糖に少量の水を加えて手作業で強く練り上げ(研ぎ)と麻袋に入れて糖液を絞りとる作業を数回繰り返して完成される伝統的な製法で作られる砂糖です。研ぎの作業を行うことでショ糖の粒子がキメ細かくなり食べたときの口当たりがよく後味が残らないすっきりとした味わいになります。特に和菓子によく利用されます。徳島県香川県で製造されています。

こちらはフランス発祥の砂糖になります。サトウキビの糖汁が原料となっておりハチミツのような香りを持っています。用途としてはクリーム・ブリュレの表面にふりかけキャラメリゼに利用され、洋菓子に多く利用されます。

似たような砂糖でヴェルジョワーズがありますが、こちらは甜菜(ビート)の糖汁から一度結晶を取り出した糖蜜から作られる砂糖でこちらも独特の風味をもっています。

ざらめ糖

分蜜粗糖を原料糖として再度融解し、不純物を洗い落としなど清浄・脱色・ろ過をしてできた無色透明の「ファインリカー」から濃縮・結晶化を行い一番純度が高い1番糖と2番糖として作られる結晶上の砂糖。ショ糖の含有率がとても高く、転化糖をほとんど含まないので湿気に強くサラサラとした物性の特徴を持つ。

【ざらめ糖に分類される砂糖】

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  • ラニュー糖・白ざら糖

最高純度の「ファインリカー」から作られる、無色結晶上の砂糖。結晶の粒子の大きさによって、グラニュー糖(0.2~0.7ミリ)と白ざら糖(1~3ミリ)に分けられる。安定性が高くクセが無いため、洋菓子などで最も利用される。

  • 中ざら糖

白ざら糖と同じ工程で作られる砂糖だが、表面にカラメルをかけて仕上げるため黄褐色に色がついている砂糖

車糖

ざらめ糖と同じように高純度の「ファインリカー」から作られる砂糖だが、粒子の大きさが極めて小さく(0.1~0.2ミリ)、細かい粒子同士が固結しないようにビスコ(転化糖)を表面に噴霧しているので、しっとりとした物性を持っている。結晶化の純度の差で1番糖~5番糖に分類される。

【車糖に分類される砂糖】
  • 上白糖

最高純度の「ファインリカー」の1~2番糖として製造される車糖、白くキメ細かくしっとりとしています。甘さにコクがあり日本国内の精製糖としては最も多く製造されています。

製造方法としては「上白糖」とほぼ同じですが、3~4番糖として「中白糖」、5番糖として「三温糖」が製造されます。上白糖に比べて灰分が多く含まれていて茶褐色に色づいているのが特徴になります。「ファインリカー」を繰り返し煮詰めて結晶化することで熱により少しずつカラメル化するためこのような特徴を有します。

加工糖

 グラニュー糖を原料に様々な加工(粉砕・成型・再結晶など)を行ったもの。

【加工糖に分類される砂糖】

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  • 角砂糖

ラニュー糖に少量の液糖を混ぜて型にはめて成型した砂糖。

  • 粉糖(パウダーシュガー)

ラニュー糖をクラッシャーやロール機により粉砕してつくられる粉上の砂糖。通常固結防止のためデンプンやオリゴ糖などが添加される。

  • 氷砂糖

濃いショ糖液に種糖を加え、50℃前後で10~14日間かけてゆっくり結晶を大きく成長させた砂糖のことです。特徴としてはゆっくりと溶けていくので果実酒を作るときに用いられます。

  • パールシュガー

砂糖大根から作られたグラニュー糖を原料として、圧力をかけてブロック状にしたものを砕くなどして製造される粒上の砂糖です。特徴としては高温でも溶けにくく、カリカリとした食感があります。よくお菓子の飾りやワッフルなどに使用されます。スウェーデンやベルギーなどで製造されます。

結論

砂糖は製造工程ごとに5つに分類され、その中で純度の高い順に1番糖~5番糖まで分類されます。

  • 含蜜糖

砂糖の中でも製造段階初期でとれる砂糖で、黒砂糖やメープルシュガーのように色が付いていて、味に独特の風味があるのが特徴

  • 分蜜粗糖

含蜜糖にショ糖(種糖)を添加して結晶化することで、一段階ショ糖の割合が多い砂糖になります。

  • ざらめ糖

分蜜粗糖を原料糖として再度お湯に溶かし、夾雑物を取り除いて洗浄・脱色・ろ過した無色透明の「ファインリカー」をもとにショ糖(種糖)を加えて結晶化した最もショ糖の割合が高い砂糖、転化糖をほとんど含まないため粒子が細かくサラサラしており安定性が高い。主に洋菓子などで用いられる。

  • 車糖

ざらめ糖と製造工程は同じだが、粒子がより細かく表面にビスコ(転化糖)を噴霧してコーティングした砂糖。転化糖をコーティングしているためしっとりとしており味わいとしてコクを持っている。日本で最も流通している砂糖の種類になる。

  • 加工糖 

ざらめ糖のグラニュー糖を原料に、粉砕・成型・再結晶など加工された砂糖のことで用途別に形がいろいろ異なるのが特徴!

砂糖の種類ごとに用途は変わってきます!用途に合った砂糖を選んでお菓子作りやパン作りを充実させてください!