お菓子づくりを科学的に解説

お菓子作りを始める方たちへ今さら聞けないお菓子の基礎知識を科学的に解説!

パン作りを科学的に解説!絶対に失敗しないパン作りの基礎~グルテンに影響する食材~

パン生地を混ぜるときに少しの塩を混ぜませんか?もちろん味をつけるために混ぜている理由もあるのですが、実はグルテンに大きくかかわっているのです。今回はグルテンに大きく影響を与える食材とその利用方法について説明していきます。

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塩の影響

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塩を生地の中に混ぜる理由としては風味をよくするためと、グルテンと反応させて生地の粘弾性(コシの強さや伸び)を強化する狙いがあります。整形されているグルテン同士の結合をより強固にし、生地がだれてしまうことを防ぎます。しかし、塩の分量が多すぎてしまうと酵母菌の発酵を抑えてしまうので通常小麦粉の1~2%の分量とされています。

アスコルビン酸(ビタミンC)の影響

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アスコルビン酸(ビタミンC)は、グルテンの中のゴムのような役割を担うグルテニン同士の結合(ジスルフィド結合)を手助けする能力を持っています。結果として生地全体のコシを強固にする役割を持っています。

油脂類

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油脂類についてはその形態のよって効果が異なります。

  • 液体状の油脂類であるサラダ油などを生地に混ぜると、グルテンの隙間に入り込んでグルテンの粘弾性を抑制させます。グルテンやデンプン粒の滑りを促進させ生地全体を柔らかく伸びのある生地に仕上げることができます。シュトゥルーデル生地は生地にサラダ油を混ぜることで紙ぐらいの薄さまで伸ばし広げることができるのです。
  • 固形状のバターなどは粘土のような可塑性(形を自由に変更できる)の物性を持っています。生地に混ぜると生地の中で薄い層を作り生地の中のグルテンを分断・切断する役割を持っています。バターを混ぜた生地は焼き上げるとサクサク・パリパリした生地になる特徴があります。主にクロワッサンやパイ生地を作るときに利用されます。

このようにグルテンは油脂類の添加によって物性に大きく影響を受けます。ですのでパン生地を作るときにはまずしっかりとグルテンを成型させてからサラダ油やバターなどを入れるようにしましょう。逆にシュー生地などグルテンの成型を抑制したい生地を作るときには一番初めに油脂類を添加しグルテン成型を抑えましょう。

結論

  • 塩やアスコルビン酸(ビタミンC) ➡ しっかりコシを持った生地になる
  • サラダ油やバター ➡ 伸びのある生地もしくは、焼き上げたときにパリパリ

油脂類の添加するタイミング

  • パンを作るとき ➡ 小麦粉と水を練り合わせた後に添加
  • シュー生地を作るとき ➡ 小麦粉と水を混ぜて練り合わせる前に添加

パン生地に混ぜる材料やそのタイミングによってその生地の性質は大きく変わってきます!グルテンの変化を利用して色々なパンを作って楽しみましょう!

 

グルテンやパン作りの大事な工程について下記にまとめていますので一緒にご覧ください

okashikagaku.hatenablog.com

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